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2009年5月24日 (日)

山歩き 下りのときに脚が痛くなるメカニズム

 山歩きをしていると、下りで膝がガクガクしたり、痛くなったりすることがありますが、その原因について調べてみたところ、「安全登山のためのマニュアル(基礎編)」というページを見つけました。トップは「学習院大学ワンダーフォーゲル部OB&OGのHP」のようで、山を登る時の歩き方や注意点、トレーニングの方法などが書かれています。http://www.geocities.jp/gwvuno2004/anzentozan.htm

 最も重要な働きをする筋肉は、やっぱり太股前側の大腿四頭筋です。それが登るときには、収縮力を抵抗よりも大きくして、縮みながら力を発揮する短縮性筋活動。下りるときには、収縮力よりも抵抗の方が大きくなり、伸ばされながら力を発揮する伸張性筋活動を行ないます。

 ところで大腿四頭筋にとって、短縮性収縮は自然な収縮形態であり、伸張性収縮のほうは不自然な収縮形態という。そして筋力不足の人がこの不自然な伸張性収縮を行うと、たくさんの筋細胞が壊れてしまう。筋細胞が壊れると、筋力は大きく低下する。短縮性収縮をしたときも筋力は低下するが、その低下率は小さく、元に戻るのも早い。しかし伸張性収縮をすると、筋力は運動前の半分くらいまで低下してしまい、しかも数日経っても元に戻らない。

 登山の場合に当てはめてみると、登っているときは短縮性収縮が行われているので、筋力はそれほど低下しない。しかし下りにかかると伸張性収縮が繰り返されるので、脚力の弱い人では筋力が急激に低下してしまう。一般的に最終日の下りに事故が多いとされるのは「気のゆるみ」といった精神的なものより、筋肉に疲労が蓄積した結果として起こった「筋力の低下」が事故の要因として考えられる

 登った後で下りることがほとんどで、脚の疲労はたいてい下りのときに出てきますから、すべての行程で疲労が溜まるものと考えてしまいます。そうではなくて、ふだんあまり使わない大腿四頭筋の伸張性筋活動が原因とは・・・。下りのときの、後方の脚の筋活動です。しかも、足が地面から受ける衝撃が平坦な道を歩くときとは異なります。「マニュアル」では、登りの2倍としていますが、勾配によってはもっと荷重が掛かるような気がします。但し、これは前方の脚です。なお、短縮性収縮とは短縮性筋活動のことで、伸張性収縮とは伸張性筋活動のことです。

「筋力の低下」とともに、足が地面から受ける衝撃力のことも考慮しておく必要がある。登りの場合、体重とほぼ同じくらいの力がゆるやかにかかるだけだが、下りでは登りの2倍(つまり体重の2倍)もの力が、着地した瞬間に一気にかかる。当然の事ながら、ザックを背負っていればこれよりさらに大きな衝撃力がかかることになる。体重が50キロの女子が25キロのザックを背負っているとすると、下りでは150キロもの衝撃が瞬間的に片足にかかることになる。急斜面を勢いよく下っていれば、衝撃はより増大する。

大腿四頭筋は、この着地衝撃に対抗して体重を支える役割を果たしている。ところがこの筋は下りにかかると伸張性収縮の繰り返しによって、筋力が大きく低下してしまっている可能性がある。下りでは、脚筋力の低下と強い着地衝撃との相乗作用によって、特に転倒がおきやすい状況にあるのである。このことを理解せずにただ注意するだけでは転倒を防ぐことはできない。
(引用:
「安全登山のためのマニュアル(基礎編)」)

 そして、大腿四頭筋の短縮性、伸張性筋活動双方の理想的トレーニングとして、スクワットが紹介されています。膝を伸ばすときが短縮性筋活動で、曲げるときが伸張性筋活動。確かに日常的なトレーニングとしては、階段の上り下りよりも手軽で、膝や腰への負担が少ないでしょう。但し、フォームに気をつける必要があります。

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